地域公開講座を開催しました!
2025年2月22日(土)に当院の泌尿器科の黒瀬医師に「夜間頻尿・排尿障害」についてお話をしていただきました。
定員80名にもかかわらず、120名の方にご来場いただき会場に入場することが出来なかった方達は外来の待合ホールにてライブで講演会を観覧していただくほど大盛況の講座となりました。
講演の内容を少しご紹介します!
夜間頻尿・排尿障害について
成人の正常な排尿状態をご存じですか?
●1日尿量………… 1000〜1500ml
●排尿の時間………10〜30秒
●1回排尿量……… 200ml(〜500ml)
●1日排尿回数…… 5〜7回(頻尿:8回以上) 夜間…… 0〜1回(夜間頻尿:1回以上)
●痛みや不快感がない。
●30分〜1時間は我慢できる、漏れない。
●おなかに力を入れなくても排尿できる。
●尿が途中で途切れたり、なかなか終わらなかっ
たりがない。
では、こんな症状ありませんか?
□夜間や昼間に何回もトイレに起きないといけない。
□急に尿意をもよおして我慢できない、間に合わずに漏れてしまう。
□尿が出にくい、勢いが無い、時間がかかる、残尿感がある。
□くしゃみをした時、立ち上がった時に尿が漏れる。
□尿が貯まると下腹部が痛む。
□蛇口を見るとトイレに行きたくなる。
□排尿後ズボンを上げた後に少し漏れる。
このような、頻尿や排尿障害を年齢のせいにしていませんか?加齢とともに出現する症状なのですが、治療可能な症状なのです。でも、受診する人が少ないのが現状です。その中でも「夜間頻尿」が排尿障害の中で最も多い症状で、年齢とともに夜間頻尿回数も増えています。夜間排尿のために1回以上起きなければならない人は
80歳以上の男性で8割も報告されています。また、排尿障害のなかで「夜間頻尿」が一番QOL(生活の質)を阻害します。特に夜間排尿回数2回以上は死亡率にも関連し、積極的な治療介入が必要となります。(年齢のせいだけではありません!)
複数の研究から夜間頻尿が深刻な影響をもつのは2回以上からであり、治療により夜間排尿回数が2回未満に減れば、QOLや骨折・死亡リスクが減ると考えられます。
夜間頻尿の原因とは
①多尿(24時間尿量の増加)
②夜間多尿(夜間のみ尿量増加)
③膀胱蓄尿障害(前立腺肥大症、過活動膀胱 など)
④睡眠障害(夜間不眠)
夜間頻尿の主な原因は夜間多尿です。水分を過剰摂取すれば飲水過多となり、当然夜間頻尿の原因となります。なので、当院では夜間尿量を減らせるように「6か条」で指導しています。
夜間尿量を減らす6か条
・水分の取りすぎは排尿回数の増加につながります!
・1日摂取量を体重の2〜2.5%程度となるように飲水量を調節しましょう。
・夕方以降の水分を控えましょう!特にアルコールやカフェインは×(ダメ)です!
・塩分を制限しましょう!
・夕方以降の運動を心がけましょう(スクワットや散歩、ダンベル運動)!
・昼寝をする際はクッションなどで足を高くして30分以内で!
・日光浴をしてみましょう!
しかし、すでに治療を受けている患者さんの中にも、実際には夜間排尿回数が2回以上のままになっている患者が多く、いわゆるクリニカルイナーシャが多い状態なのです。
クリニカルイナーシャになっていませんか?
治療目標が達成されていないのに、治療が適切に強化されていない状態のことを「クリニカルイナーシャ」といいます。
それは…患者さんに外来でどうですか?と聞くと「変わりないです!今の薬でいいです。」「ではまた薬を出しておきますね。」と日常の診療でありがちな風景だと思いますが、実はこの「変わらない」の中に治療介入が必要な2回以上の夜間頻尿が隠されていることが多く、夜間頻尿というのはこのクリニカルイナーシャが非常に多い病態と言えます。
患者さんの「変わりません」という訴えを医療者が「変わらず良い」と勝手に解釈してしまうことがクリニカルイナーシャを生む大きな原因となっています。繰り返しになりますが夜間頻尿に関しては意識すれば治療の対象となる患者さんが実は非常に多く隠されているのではないかと思われます。
本当は満足していないのに症状に対する不満を訴えなかったり、内服薬を飲んでいなかったりしていませんか?
もっと、医師に症状を訴えて、医師の処方する薬もきちんと内服してくださいね。
一緒に治療をしていきましょう。
ここまで、地域公開講座の内容を掻い摘んでご紹介しました。
現在、講座を「YouTube」で配信しています。ご興味のある方は、是非ご覧ください!
合わせください
この記事は2025年6月現在のものです。