ワクチンを接種してもインフルエンザになるのはなぜ?
病院感染管理室
A ワクチンを接種すればインフルエンザにかからないというわけではありません。
しかし、インフルエンザワクチンは、感染後に発病する可能性を低減させる効果と、発病した場合の重症化防止に有効です。
インフルエンザにかかる時は、インフルエンザウイルスが口や鼻あるいは眼の粘膜から体の中に入ってくることから始まります。体の中に入ったウイルスは、次に細胞に侵入して増殖します。この状態を「感染」といいますが、ワクチンにはこれを完全に抑える働きはありません。
ウイルスが増えると、数日の潜伏期間を経て、発熱やのどの痛み等のインフルエンザの症状が出現します。この状態を「発病」といいます。インフルエンザワクチンには、この「発病」を抑える効果が一定程度認められていますが、麻しんや風しんワクチンで認められているような高い発病予防効果を期待することはできません。発病後、多くの方は1週間程度で回復しますが、中には肺炎や脳症等の重い合併症が現れ、入院治療を必要とする方や死亡される方もいます。これをインフルエンザの「重症化」といいます。特にご高齢の方や基礎疾患(慢性呼吸器疾患・糖尿病など)のある方では重症化する可能性が高いと考えられています。インフルエンザワクチンの最も大きな効果は、「重症化」を予防することです。
厚生労働省ホームページ 平成30年度インフルエンザQ&A より引用
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
インフルエンザの予防方法
ポイント1 | 流行前にワクチンを接種しましょう。 |
---|---|
ポイント2 | 外出後は手洗いをしましょう。 インフルエンザウイルスにはアルコール製剤による手指の消毒も効果があります。 |
ポイント3 | 適度な湿度を保持しましょう。 空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。 特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保つことも効果的です。 |
ポイント4 | 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を心がけましょう。 |
ポイント5 | 人混みや繁華街への外出を控えましょう。 インフルエンザが流行してきたら、特にご高齢の方や基礎疾患のある方、妊婦、体調の悪い方、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。 やむを得ず外出して人混みに入る可能性がある場合には、ガーゼマスクではなくある程度飛沫感染等を防ぐことができる不織布(ふしょくふ)製マスクを着用しましょう。 |
不織布(ふしょくふ)製マスク
関連する動画
ICT(感染対策チーム)活動について
ICTとは、インフェクション コントロール チーム(Infection Control Team)の略称で、感染対策チームのことです。院内で起こるさまざまな感染症から患者さん・ご家族、職員の安全を守るために活動を行う組織です。医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、事務職員などそれぞれの専門性を活かしながら、横断的に病院全体の感染対策活動に従事しています。
毎週ICTカンファレンスを行い、感染対策に関する報告や協議を行っています。
私たちICTメンバーは、「感染しない、させない、ひろげない」をモットーに感染対策活動に力をいれています。
- 全職員を対象として、院内感染に関する研修会を行います。
- 院内感染対策または感染症の診断、治療に関する質問に対し科学的根拠(エビデンス)に基づいて回答します。
- 各部署における院内感染事例を把握しています。また、検査部が週1回感染症レポートを作成し、その情報をもとに細菌やウイルスの検出状況を把握しています。
- 院内感染対策マニュアルを作成し、ICTメンバーで週に1回程度定期的に院内を巡回し報告を行っています。
- 必要時に職員の健康管理に関する指導・助言を行っています。また、職員の流行性ウイルスワクチン接種(麻疹・風疹等)、インフルエンザワクチン接種の管理を行います。
- 感染対策における地域連携を行っています。連携病院と年4回、情報・意見交換の会議を行っています。また、年1回連携施設に赴いて感染対策の評価を行い、当院も評価をしてもらっています。
院内巡回の様子
ICTスタッフ
私たち感染対策チームは、それぞれの職種の専門知識を生かし、当院に来られるすべての方に安心していただけるように院内の感染防止対策に取り組んでいます。
この記事は2019年1月現在のものです。
関連する記事
- 新型コロナウイルス感染症について
- 冬の感染症 ~感染性腸炎~
- 冬の食中毒
- 咳エチケットを心がけよう
- 家庭でできる感染対策
- うがいって大事!