フレイル・サルコペニアを知ろう!
理学療法士
日本人の「平均寿命」は2017年時点で男性81.09歳、女性87.26歳と過去最高を更新しています。その一方で「健康寿命」と言われる健康上に問題がない状態で日常生活が制限されることなく自立して生活できる期
間は2016年時点で男性72.14歳、女性74.79歳と発表されています。その差は男性でおよそ9年間、女性でおよそ13年間の計算になります。そのような中で健康長寿の妨げになる危険性が高いものとして「フレイル」や「サルコペニア」が近年注目されています。
「フレイル(虚弱)」とは
老化に伴い筋力や活動が低下している状態です。
フレイルには身体機能の低下だけでなく、閉じこもりがちになる(社会的)
意欲や認知機能の低下(精神的)などの要素が含まれます。
「サルコペニア(筋肉減少症)」とは
加齢に伴う筋肉量や筋力、身体機能の低下です。
原因として加齢以外にも、エネルギーやたんぱく質などの摂取不足
身体活動量の減少、疾患(骨折や糖尿病など)があります。
低栄養素、フレイル、サルコペニアの連鎖
「フレイル」や「サルコペニア」の予防に
特に有用とされているのが食事と運動です。
食事
まずは1日3食しっかり食べることです。必要なエネルギー・タンパク質などの栄養素を摂取することで、筋肉や内臓に蓄えられ、フレイル・サルコペニアの予防になります。栄養は意欲的に活動し理想の毎日を送る源になります。
「フレイル」や「サルコペニア」の予防に特に有用とされているのが食事と運動です。
運動
ストレッチ、レジスタンス運動(筋力トレーニング)、有酸素運動(ウォーキングなど)があります。
糖尿病との 関連性
“糖尿病”は脳梗塞や心筋梗塞といった血管系の病気に起因するといわれ、要介護状態の原因の一つでもあります。また糖尿病の治療で大切なことは生活習慣の改善といわれており、フレイル同様に食事と運動が重要な項目となります。
具体的な運動内容
有酸素運動ではウォーキング、水泳、サイクリングなどがあります。時間は1回20分以上をできるだけ毎日行ない、週の合計が150分以上を目安とします。仕事や家事で運動時間が取れない方でも、下記の(1)~(4)の活動量はウォーキングの活動量に近いため運動時間として換算できます。
(1)立ち仕事 (2)孫と遊ぶ
(3)ガーデニング (4)畑仕事をする
レジスタンス運動には体幹を鍛える腹筋や背筋、下肢を鍛えるス
クワットや踵上げ運動などがあります。回数は無理がないように
10~15回程度を2~3セット、週3回を目安とします。
近年日本の一般高齢者のうちフレイルに該当する方が約10%、サルコペニアは10~20%とされており、いずれも年齢を重ねるごとに割合が多くなっていきます。また75歳以降ではフレイルが原因で介護が必要になる方が増加しています。健康で自分らしい人生を送るためフレイルやサルコペニアを予防、また改善し元気で過ごされることを願っています。
この記事は2019年11月現在のものです。