帯状疱疹のワクチンを接種しませんか?
帯状疱疹とは
帯状疱疹と聞くと、皆さんはどのようなイメージをうかべるでしょうか。痛い、水疱が突然できる、年をとると起こる、詳しい方なら身体のある高さの左右半分側だけに症状がでる、こんなイメージと思います。
それらはとても的を射えているもので、まさに、「帯状」に痛い水「疱」を伴う発「疹」がでる疾患です。原因は水痘帯状疱疹ウイルスというヘルペスウイルスの一種です。このウイルスには大抵の方は幼少期に感染していますが、この時ウイルスが駆逐された訳ではなく、免疫力が届きにくい神経節という場所でひっそりと息を潜めているのです。そして体が弱った時、例えば体調が崩れた時、睡眠不足や抗がん剤治療などで抵抗力が落ちた時に勢いを盛り返して体の中に悪影響を及ぼします。
症状と治療について
「突然、思い当たる原因がない痛みと水疱を伴う皮疹」をきたす病気というのは、帯状疱疹がほとんどで非常に特徴的と言えます。皮膚科がメインの診療科となりますが、救急の時間外受診も多く、疑った際にはウイルスの再活性化を治療するために抗ウイルス剤の内服や軟膏塗布が行われます。また同時に神経のダメージも起こっていて、疼痛に対しては鎮痛剤の処方や神経再生の助けとなるビタミン剤の投与も行うこともあります。
時間経過とともに皮疹は改善するものの痕が残ることも多く、厄介なのは頑固な疼痛が続くことです。これは帯状疱疹後神経痛というもので、神経のダメージが起こっているためなかなか治療難治であり、疼痛消失まで数カ月単位かかることや漫然と痛みが続くことも多分にあります。また顔面に起こった場合は難聴の原因や髄膜炎、脳梗塞の原因になることがあるため、より慎重な対応を要します。
予防について
残念ながら発病した場合は、被害を最小限にとどめるよう、できるだけ早期の段階での治療介入がよりよい結果に繋がることが多いため、怪しいと考えれば早めの医師への相談がよいと考えます。
とはいえ、最善なのは発症した場合の的確な対応よりも、そもそもの発症を予防する心掛けが大切です。そして、一番の予防というのは免疫力を保つこと、体調を整えることで食事や運動習慣を身に付ける、十分な睡眠時間を確保するといった日々の取組みが重要となります。
近年、「予防接種」も充実しており、発症を必ず防ぐというものではないのですが、発症を90%抑えることが出来たり、発症後の神経痛を軽減したりする有効な予防法も確立しつつあります。これらの取組みを心掛け
ることや予防しておくことで、たとえ発症しても症状が軽く済む事が期待できますので、前向きに一考しても良いかも知れません。
当院でも2024年3月より取り入れており接種できるようになりました。当院を含めた筑後地域(2024年6月時点)では、自費22,000円/回で2カ月あけて2回接種となっています。ただ自治体によって助成金を補助するところもありますし、今後拡大が見込まれますので、気になる方は問い合わせていただければ幸いです。
もちろん、人それぞれで置かれている状況は違いますが、特に免疫系が弱い患者さん、高齢者をはじめ、ステロイドや抗がん剤などの免疫治療を行っている方など、気になることがあれば気軽にご相談ください。
この記事は2024年9月現在のものです。