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外来担当医表

BLSとAED

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心停止の現状

人は誰にでも「急変」のリスクがあります。例えばあなたの家族や友人、隣にたまたま居合わせた人が突然倒れた場合、BLS(Basic Life Support:一次救命処置)を行ないます。日本では毎日多くの人が、心臓突然死で命を失っています。その数は、なんと一年間で約7万9千人。一日に約200人、約7分に1人が心臓突然死で亡くなっています。成人の突然死の原因には急性心筋梗塞や脳卒中があり、急変した傷病者を救命し、社会復帰させるために必要となる一連の行為を「救命の連鎖」といい、 (1)心停止の予防、(2)早期認識と通報、(3)一次救命処置(心肺蘇生とAED)、 (4)二次救命処置と心拍再開後の集中治療の「4つの輪」が素早く繋がると、 救命効果が高まるとされています。

救命の連鎖


救命の連鎖


心臓突然死の原因の多くは「心室細動」と呼ばれる重篤な不整脈です。心室細動は心臓が震えるのみで血液を全身に送り出せなくなります。いわゆる心停止の状態です。数秒で意識を失い、数分で脳をはじめとした全身の細胞が死んでしまいます。心室細動からの救命には迅速な心肺蘇生と電気ショック(除細動)が必要です。除細動が1分遅れる毎に救命率は約10%ずつ低下します。【図1】


119番通報から救急車到着までには平均8.7分(総務省消防
庁:令和元年救急・救助の現況より)。救急隊や医師を待っていては命を救うことは難しくなります。2004年7月には一般市民によるAED(Automated External Defibrillator:自動体外式除細動器)の使用が解禁されました。我が国はAEDの設置台数が世界一で、公共機関やスーパー・コンビニエンスストアでもよく見かけます。しかし使用率は高くありません。  


【図1】

図1 応急手当と救命曲線

AEDを用いた救命処置の流れ

AEDを用いた救急処置の流れ


STEP1)119番通報とAED要請

倒れている人を発見したら、周囲の安全を確認し近づきます。両肩を叩きながら声かけ、反応を確認し119番通報とAEDを要請します。最近は、新型コロナウイルス感染症の可能性があるのでマスクの装着、可能ならば手袋装着が望ましいでしょう。

STEP2)胸を押します(胸骨圧迫)

普段通りの呼吸がなければ心停止です。胸骨圧迫(心臓マッサージ)を直ちに開始します。判断に迷ったときも、胸骨圧迫を実施しましょう。



胸骨圧迫

STE3)AEDを使用する

心停止の多くは心室細動、いわゆる心臓のけいれんが原因です。そのけいれんを止めてくれる医療機器がAEDです。AEDの操作はとても簡単です。機種によっては蓋を開けるだけで電源が入るものもありますが、まずは電源ボタンを押します。指示に従ってパッドを絵のとおりに倒れている人に貼ると、AEDは電気ショックが必要な状態か判断してくれます。指示があれば周囲の人が触れていないことを確認して電気ショックのボタンを押します。必要がない場合は電気ショックを行なわないようになっています。
AEDは命を救う手助けをしてくれる安全な器具です。AEDを使用することが当たり前となる世の中になってほしいと思います。

AEDの流れ AEDの流れ2 AEDの流れ3



総務省消防庁の「救急・救助の現況」【図2】によると、心原性心肺機能停止病者の生存率について、(1)一般市民が心肺蘇生を実施した傷病者の「1カ月後生存率」(16.4%)は、実施しなかった傷病者の生存率(9.3%)の約 1.8 倍、(2)同じく「1カ月後社会復帰率」(11.7%)は、実施しなかった場合の社会復帰率(4.9%)の約 2.4 倍、(3)一般市民がAEDを使用し除細動を実施した傷病者の「1カ月後生存率」(53.3%)は、実施しなかった場合の生存率(11.3%)の約 4.7 倍でした。胸骨圧迫(心臓マッサージ)やAED等による心肺蘇生の有無は、傷病者の生存や社会復帰にも影響を及ぼす結果となっています。

 【図2】総務省消防庁

   令和元年版救急・救助の現況

図2 総務省消防庁:令和元年版救急・救助の現況

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この記事は2020年10月現在のものです。

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