がん診療

当院では各種がんに対する診療に力を入れています。がんの診断をはじめ、手術、リハビリ、化学療法まで幅広く対応できる体制を整えています。消化器系の手術に関しては侵襲性の少ない腹腔鏡手術を主として行い、化学療法に関しては専門的な知識を持ったがん化学療法認定看護師を配置することで、患者さんやご家族の体と心のケアを充実させています。

「腹腔鏡手術」のお話

腹腔鏡手術とは

腹腔(ふくくう)とは、胃や大腸な どの内臓が納まっているお腹の中のことです。鏡(きょう)とは胃カメ ラに代表される内視鏡(ファイバースコープ)を意味しますので、腹腔鏡とはお腹の中を観察する内視鏡の ことです。腹腔鏡手術では全身麻酔下に、おへそ近くに約2cmの小さい穴を開けてお腹に炭酸ガスを注入し たり、お腹の壁をつり上げたりしてスペースを確保します。そこから腹腔鏡をお腹の中にいれて観察し、2~4カ所の数ミリの傷から錯子(かんし)と呼ばれる細い棒の先にピンセットやハサミなどがついた専用の道具を挿入して手術します。

腹腔鏡手術は内視鏡手術または鏡視下手術とも言います。腹腔鏡手術は開腹手術に比べて傷が小さ いので患者さんの身体に対する負担が少なく、痛みが軽くて術後の回復が早いので早期退院、早期社会復帰が可能です。また、傷が小さく目立たないので美容的にも優れています。しかし、腹腔鏡手術はより高度の技術を必要としますので、開腹手術より手術時間が長くなることもあります。日本では約20年前から臨床応用されるようになり、手術手技や道具の進歩もあって、ここ数年で急速に普及しています。当院では早くから腹腔鏡手術に 積極的に取り組んでおり、腹腔鏡手術は当院の得意分野です。

腹腔鏡手術の写真

腹腔鏡手術光景

腹腔鏡と錯子の写真

腹腔鏡と錯子

主たるがんに関する手術実績

平成30年度がんに関する手術実績


 がんの縮小・消失を目的に行なわれた手術のみ集計しています。

平成30年度がんに関する手術実績
合計 開腹 外科的 腹腔鏡下 内視鏡的 その他
食道 7 - - - 7
45 1 - 12 32
大腸

61

8 1 35 17

51

- - - -

RFA(ラジオ波焼灼療法)16件

TACE(肝動脈化学塞栓術)35件 

胆嚢 1 - - 1 -
乳・乳腺 2 2 - - -
子宮 1 1 - - -
前立腺 1 1 - - -
腎・尿路 3 - - 3 -
膀胱 36 - - - 36
リンパ節 2 - 2 - -


化学療法

以前はがん化学療法(抗がん剤によるがん治療)といえば入院して治療を行うことが一般的でしたが、新しい薬剤の開発や副作用の軽減などの医療の進歩によって、今では自宅で生活を送りながら安全にがん治療を受けることもできるようになりました。

がん化学(薬物)療法とは?

がん化学療法は、抗がん剤を中心とした薬剤の投与によって、がんが増えるのを抑え、成長を遅らせたり、転移や再発を防いだり、小さながんが転移しているかもしれない所を治療するために用いられる「全身療法」です。手術療法や放射線治療は、がんの局所的な治療であるのに対し、抗がん剤は、より広い範囲に治療の効果が及ぶことが期待できます。


 がん化学療法薬(抗悪性腫瘍薬)

抗がん剤

がん細胞を死滅させ増殖を抑える。

分子標的治療薬

がんの増殖に関係するスイッチをオフにする。

ホルモン剤

乳がん、前立腺がんなど、ホルモンレセプター陽性のがん対して用いる。

免疫チェックポイント阻害剤

免疫機能を活性化させることでがん細胞と戦う力を増強する。

※よく耳にする二ボルマブはここに分類されます。

副作用について

化学(薬物)療法を行なう上で切っても切り離せないのが副作用です。抗がん剤と聞くと、髪が抜け、吐き気が強いというイメージですが、最近では副作用のより少ない薬が開発され、外来で通院しながら治療を受けることが可能になっています。


がん化学療法でみられる主な副作用

過敏症、発熱骨髄抑制悪心・嘔吐口内炎下痢便秘脱毛皮膚障害倦怠感など


副作用が心配だなぁ…。


患者さんが自分らしく生きるため、またスムーズな治療を支えるため、副作用対策を行なっています。不安があれば、医師や看護師にお気軽にお尋ねください。

当院の化学療法室

当院では、様々ながん患者さんが外来通院で治療を受けられています。他院で手術を受けた患者さんで、自宅の近くで化学療法を受けたい方にもご利用いただいております。

近年、治療を受けられる患者さんが増え9床→14床に増床しました。ベッド12床とリクライニングチェアが2台ありテレビを観ながらリラックスして化学療法を受けることができます。

また、専門的スタッフが常時いますので、いつでも相談できます。

化学療法室写真化学療法室の写真化学療法を受けている人の写真

当院でがん化学療法を行なっている疾患

胃がん 大腸がん 肺がん 前立腺がん 肝臓がん 乳がん すい臓・胆道がん 血液がん

がん化学療法看護認定看護師の紹介

抗がん剤(点滴・内服)治療に関して専門的知識と技術を有する看護師です。

がん化学療法認定看護師の写真

近年、がん治療における化学療法は目覚ましい進歩を続けており、副作用もさまざまです。

抗がん剤治療を受ける患者さん・ご家族が自分らしい生活を大切にしながら治療を継続していくための看護を提供します。

友添 典子

緩和ケアチーム

緩和ケアとは、生命を脅かす疾患に伴う問題に直面している患者さんとその家族にとって身体や心のつらさ、苦痛を和らげて、できるだけ快適な生活を支援する医療です。

当院では、外来、入院中の患者さんとその家族に対し、緩和ケアを行うことによって痛みやその他の身体的、精神的、社会的、スピリチャルな問題をより早期に解決し、苦痛を予防あるいは軽減することを目指しています。

緩和ケアチームは、その緩和ケアを提供するために、医師・看護師・心理士・栄養士・理学療法士などが主治医、外来・病棟看護師と協力して働く専門チームです。チーム活動は、多職種によるカンファレンスを行い、患者さんとご家族の「意志」を尊重した医療や支援内容を検討しています。また、必要な場合には、在宅ケアや精神科リエゾン(非常勤精神科医師)などのチームとも連携を図っています。

がんリハビリテーション

患者さんの「自分らしい」生き方を目指す

がんリハビリテーションとは

がんになると症状やその治療によるさまざまな機能障害が起きる場合があります。

それらが原因で、日常生活に支障をきたしたり、仕事を辞めざるを得ないなど、生活の質(QOL: クオリティー・オブ・ライフ)を低下させる患者さんも少なくありません。

がんリハビリテーション(以下リハビリ)とは、それらの機能障害で衰えた身体に対応したリハビリを行うことで、 苦痛を和らげたり機能障害そのものを未然に防ぐものです。

※がんによる症状や治療による機能障害(一例)/痛み、癖れ、言語障害、排池障害、筋力低下など(個人差があります)


がんの治療を目的に入院をした時点から、医師の指示のもと、がんリハビリの介入が始まります。がんリハビリの目標は、「退院時のADL(日常生活動作)能力を術前のレベルに戻す」ことです。それぞれの患者さんの症状や起きうるさまざまな機能障害に合わせたリハビリを行います。歩行訓練などの運動器リハビリだけではなく、呼吸器リハビリや排池・言語障害に対応したものまで、細やかに対応して行います。


がんリハビリテーションの進め方フロー図

周術期のがんリハビリテーションに期待されること

疾患別リハビリテーション(以下リハビリ)では術後からの介入が一般的ですが、がんリハビリでは術前からの介入が可能となります。そのため、術後に発生が予測されるさまざまな機能障害に対する予防的リハビリの介入が可能となり、早期の離床・合併症の予防なども期待でき術後から退院までの期間短縮にもつながります。

がんリハビリでは、入院中に継続的にリハビリを行うことで可能な限りADL能力を維持し、自宅での生活につなげていきます。

当院のがんリハビリテーション

当院は、平成27年12月にがんリハビリテーションに関する規定の研修を修了し、平成28年1月から「がん患者リハビリテーション料」の施設基準を取得しました。


2021年7現在、がんリハビリテーションチームは、その研修を受けた医療スタッフで構成【医師3名(内科2 名、外科1 名)・看護師4名(がん化学療法看護認定看護師を含む)・理学療法士5 名・作業療法士3名】し、対象患者さんに多職種による力ンファランスや回診を通し、早い段階からの情報共有と介入を行っています。


がんリハビリテーションチーム


多職種でのチーム医療

多職種でのチーム医療を実践

当院は、がん患者さんのQOLの維持・向上と 「自分らしい生き方」をサポートしていきます。

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