足のむくみ・腫れについて
心臓血管外科
「むくみ」とは体(主に皮下)に水がたまり、体のどこかが膨(ふく)れた状態になることです。これとは違って「腫(は)れ」とは血流の増加(充血)または血液成分が血管外に漏れ出ることにより膨れることとされています。「むくみ」と「腫れ」とはどちらかはっきり区別出来ることもありますが、両方同時に起こることもあります。
足のむくみや腫れは何らかの慢性的な病気をお持ちの高齢者の約4割にみられ、日本国内に数百万人の患者がいると言われています。むくみや腫れの患者の足の写真をお見せいたします【図1】。この写真に写っているむくみや腫れはすべて違う種類の病気が原因で起きており、専門家でも一目で原因が分かることは稀です。
また、若い方に見られることもあり、癌などの重大な病気や突然死の原因となる病気が原因のこともあり、次のように極めて多数の病気が原因となります。
【図1】

むくみ、腫れの原因となる疾患
全身性のもの
- 心不全
- 腎疾患
- 甲状腺機能低下症
- 栄養失調(過剰なダイエット)
- 薬剤性浮腫
- 特発性浮腫
- アルコール多飲
- 貧血
局所性のもの
- 静脈性浮腫(下肢静脈瘤、下肢静脈ポンプ機能不全、深部静脈血栓症症候群(別名エコノミークラス症候群)、深部静脈血栓症後症候群など)
- リンパ浮腫(特発性、癌の術後など)
- 悪性リンパ腫
- 骨盤・腹腔内腫瘍
- 麻痺性・筋委縮性浮腫(歩行障害)
- 蜂窩織炎(細菌や真菌の感染)・外傷
- アレルギー性疾患
- 膠原病
- 関節・筋・骨疾患
- 動静脈瘻
症状が出現した後、治療開始が遅くなれば足のむくみや腫れが改善しにくくなるものもあり、日常生活が困難になることや、ごくまれに下肢の切断にいたることもあります。もし悪性腫瘍が原因であれば、速やかな治療開始が望まれます。
これらの病気の診断のために現在一般的に可能な検査は以下のような検査です。
1. 血液検査
感染による炎症反応の程度、肝臓や腎臓の機能障害の有無、甲状腺ホルモンの機能低下の有無、心不全の有無、貧血の有無、悪性リンパ腫の可能性などの判断
2. エコー検査
下肢静脈瘤の有無、深部静脈血栓症の有無
3. CT検査
深部静脈血栓症の有無、骨盤内・腹腔内悪性腫瘍の有無、悪性リンパ腫の可能性の判断
1〜3の検査は、専門医のいる診療所または総合病院などで可能なことがありますが、それぞれの医療機関に確認が必要です。
足の腫れの原因となる病気のうち、下肢静脈瘤に関しては、足のエコー検査が可能な施設で約20分のエコー検査で比較的容易に診断できます。下肢静脈瘤が原因でない場合は、原因の特定が容易でないことも多く、実際には上の1〜3の検査をすべて行っても足の腫れやむくみの原因がはっきりする割合は3〜5割程度と考えられ、現代医療では診断の流れが確立されておらず、診断・治療法がかなり遅れている分野と言われています。
当院では、私たちが独自に開発し、臨床応用した下肢診断装置(非観血的静脈圧測定装置)があり、痛みもなく10分程度の検査で足のむくみや腫れの原因となる下肢静脈機能(第二の心臓と言われるふくらはぎの筋肉と筋肉内の静脈で足に溜まった静脈の血液を心臓に押し返す仕組み)の低下があるかどうか、また、その機能低下がどの程度であるかが容易にわかる【図2】ため、これまで困難であった足のむくみや腫れの原因の診断率が極めて高くなります。また、ICGリンパ管造影検査と言われる他の病院では施行できることが少ない検査でリンパ浮腫という病気が原因で足のむくみや腫れが起きているかどうかも診断【図3】でき、他の専門医がいる総合病院でも診断率が高くない足の腫れやむくみが私どもの病院では95%以上はっきりします。【図4】
【図2】

【図3】

【図4】

私たちは2022年に横浜で開催された全国規模の日本脈管学会総会でこれらの装置を用いた診断が足のむくみや腫れに対する診断が極めて有用であることを報告し、学会より医療の発展に寄与するところ甚大であると評価され、最優秀賞を獲得いたしました。
当院は足の腫れやむくみに関して大部分の患者さんの診断が確定できる数少ない病院のひとつです。この分野では、最も新しい医療の知識を取り入れた、精度の高い診断ができる病院となっています。
下肢浮腫の原因となることがある下肢静脈瘤のレーザー治療はもちろん、全身の動脈の血流の診断や治療も行っています。
足のむくみや腫れがあり、診断・治療を希望される方、全身の動脈の血液流れに何らかの不安がある場合は当院心臓血管外科外来を受診されることをお勧めします。
この記事は2026年3月現在のものです。






























