本当は怖い高血圧

循環器内科

血圧って?

血圧とは、心臓から全身に送り出された血液が血管の壁を押すときの圧力のことで、心臓の伸び縮みにより発生します。血圧の数値は心臓から押し出される血液の量と血管の硬さによって決まります。上の血圧( 収縮期血圧) は心臓が縮んでいるとき、下の血圧は心臓が広がっているときの血管にかかる圧力を表しています。健康でしなやかな血管であれば、心臓の伸び縮みに合わせて、太い血管( 大動脈)も伸びたり縮んだりすることが出来ますが、動脈硬化の進んだ硬い血管は伸び縮みが上手く出来ないので、心臓が縮んでいるときの圧力が血管に強くかかってしまい、上の血圧(収縮期血圧)が高くなります。このような高血圧を「本態性高血圧症」と言い、体質の遺伝や喫煙、過剰な食塩摂取、肥満といった生活習慣病を原因とします。日本人高血圧症患者の多く( 80〜90% ) はこのタイプの高血圧に該当します。これに対し、生活習慣病ではなく、他の臓器(腎臓や内分泌系の臓器、内服薬など)が原因となり発症する高血圧を「二次性高血圧症」と言います。こちらは原因を明らかにして、それを取り除くことで血圧の正常化が期待できます。一般的に若年高血圧の方に多く認めるとされています。



高血圧は万病の元?

高血圧自体には自覚症状がほとんどありません。しかし、症状はなくとも血管の動脈硬化は徐々に
進行します。動脈は身体中の臓器の栄養路であり、その通路が動脈硬化で障害されてしまうと色々な
臓器が傷んでしまいます(これを高血圧の合併症と言います) 。自覚症状がないまま、脳や心臓、腎臓の
動脈硬化が進み、その結果として脳血管障害( 脳出血や脳梗塞) 、虚血性心疾患( 狭心症や心筋梗塞) 、
腎不全を起こしてしまう、本当は怖い病気なのです。しかし、自覚症状がないため、健康診断などで指摘されても放置されてしまうことが多いのも現状です。日本には約4 3 0 0 万人の高血圧の症の患者さんがいると推測されていますが、このうち3 1 0 0 万人は管理不良であり、高血圧であることを認識していても治療を受けていない人は450万人もいるとされています。

どこからが高血圧?

血圧には
(1)診察室血圧(病院で測る血圧)
(2)家庭血圧(自宅で測る血圧)
(3)時間血圧(特殊な機械を着けて1日掛けて測る血圧)   があります。
このうち、高血圧の診断に使われるのは(1)診察室血圧 (2)家庭血圧です。「高血圧治療ガイドライン2 0 1 9 」では血圧の値を( 表1 )のように分類しています。診察室血圧では数回外来に来て頂き、測定した上の血圧(収縮期血圧)/下の血圧(拡張期血圧)のどちらか一方でも140/90 以上であれば高血圧の診断となります。家庭血圧では5〜7日、自宅にて血圧測定を行なって頂き、その平均を計算した上で、どちらか一方でも

1 3 5 / 8 5 以上であれば高血圧の診断となります。高血圧の診断、治療は家庭血圧の方を優先するため、患者さんには血圧手帳での血圧の記録をお願いしています。
一方で、高血圧の診断にならなかった「高値血圧」の方は安心して大丈夫かと言うと、決してそうではありません。最近の研究で、高値血圧の方も正常血圧の方と比較すると脳や心臓の障害を起こしやすいことが判明しています。また、将来的に高血圧へ移行する可能性も高く、注意が必要です。



次回のお話は「高血圧の治療について」です。お楽しみに!!


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この記事は2021年8月現在のものです。

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