本当は怖い高血圧 ~治療編~
循環器内科
高血圧はどうやって治療するの?
高血圧の治療には生活習慣を改善する「非薬物治療」とお薬を飲む「薬物治療」があります。
(1) 非薬物治療
前号(VOL.38)で説明したとおり、多くの高血圧は遺伝に加え、喫煙、塩分の過剰
摂取、肥満などといった生活習慣が大きな原因となっています。高血圧自体も生活習
慣病の一つであり、これらの生活習慣改善が高血圧治療、予防にとても重要です。具
体的な生活習慣の修正に関しては( 表1 )のとおりです。
(表1)
(2) 薬物治療
高値血圧( 診察1 3 0 〜1 3 9 / 8 0 〜8 9 m m H g 、家庭血圧が1 2 5 〜134/75〜84mmHg) の患者さんは、生活習慣の是正のみで改善、もしくは高血圧への進行を予防できることが多い一方で、多くの高血圧患者さんは薬物治療が必要となります。
世間一般では「降圧薬」として知られており、カルシウム拮抗薬、A R B 、
A C E 阻害薬、β遮断薬、利尿薬など様々な種類の降圧薬が存在します。
「血圧が下がったから薬をやめたい」と言うお声を頂戴することがあり
ます。しかし、血圧が下がったのはあくまで薬を飲んでいるからであっ
て、硬くなった血管がしなやかになったわけではありません。
高血圧の治療は長期間にわたります。主治医の先生と相談しつつ、
薬の調整を行うようにしましょう。
血圧はどこまで下げればいいの?
では、具体的にどのくらい血圧を下げれば良いのでしょうか。これは主に年齢によって分けられています。
(1)75歳未満→診察室血圧 130/80mmHg 家庭血圧 125/75mmHg
(2)75歳以上→診察室血圧 140/90mmHg 家庭血圧 135/85mmHg
他にも脳血管障害や糖尿病、腎不全など基礎疾患がある患者さんはより厳格に下げた方がいい場合、逆に慎重に下げなければいけない場合などもあります。また、下がり過ぎるとふらつきやめまいなどの症状が出てしまうこともあります。薬の調整や血圧のコントロール目標に関してはかかりつけ医の先生と相談しながら行うようにしましょう。
高血圧自体は自覚症状がないので、健康診断で指摘されてもついつい放置されてしまうことが多い病気です。しかし、心臓や腎臓、脳など色々な臓器に障害を起こし、色々な病気の元になり得る、決して侮ってはいけない病気です。
当科では通常の本態性高血圧症の外来治療に加え、前号で述べた二次性高血圧症の入院検査も行っております。健康診断で血圧の異常を指摘されたけれど、まだ病院に受診したことがない方など、是非一度ご相談ください。