認知症について
神経内科
高齢化がすすむ日本において認知症というものは皆さんの間に広く浸透してきていることと思います。
身内やご近所のだれそれといった日常的な話まで出てきて皆さんを不安にかき立てるものになっています。
今回、認知症とはどういうものなのかをお話していこうと思います。
物忘れについて
皆さんがよく言われる「物忘れ」とはいったいどんなものでしょうか。分かりやすい目安として、長谷川式 簡易知能評価スケール(HDS-R)やミニメンタルステート検査(MMSE)という認知機能のテストが用いられます。一般的に良く行われるこれらのテストの点数により、どれほどの能力が保たれているか評価することが出来ます。ただし、物事はそう簡単ではありません。例えば、つらいことがあって身に入らない、心ここにあらずな状況になれば、認知症の試験結果は悪くなります。途中でやる気がなくなり、後半で適当な回答や投げやりな回答が増えても同様ですし、難聴で質問が聞き取れなければ点数が伸びません。
また、内容が分かっていても、言葉が出てこなければ点数として反映されません。
テスト自体はとても有効ですが、認知症試験の点数の良し悪しだけで語れるものではありません。
「物忘れ」は結果であって、それがどんな原因や背景で起こっているのかを見極めることが重要になります。私たちは、認知機能テストの結果、どんな失点の仕方をしたか、そしてこれまでの具体的なエピソードを伺いながら受け答えの様子や態度、振る舞いなど総合的にみて、その物忘れの本質を言語化して、できる限り分かりやすくご説明することを目標に診察を行っております。
認知症について
認知症は大きく分けて二種類のタイプに分類できます。それは「治らない」タイプか「治せる」タイプの
認知症であるかというものです。
長生きするとどうしても老化現象が体全体に起こっていきます。その老化現象の正体というものは、長年積み重なった老廃物が処理できなくなることでおこる細胞の劣化です。 結果、若い時に比べて知識や判断能力が徐々に落ちてくるのです。老化はさすがに医学では治せませんので、これらは「治らない」認知症、よく言う「年のせい」といわれるものになります。
(健常者) (認知機能障害患者)
認知症のことで気になる、また相談したいことなどございましたらぜひ当科の受診をご検討ください。
この記事は2023年9月現在のものです。