成長期の骨折

整形外科

成長期の骨折とは?

成長期は0歳から16〜17歳くらいまでを言いますが、この時期には骨の端に軟らかい成長軟骨があります。
上腕骨を例に取ると、両端に、つまり肩に近い部分と肘に近い部分に軟骨があり縦方向に伸びます。骨の表面には骨膜があり成長期では厚く、横方向が成長します。この成長軟骨が年齢とともに次第に骨に変わり骨
格が出来上がります。



成長期の骨折にはどんな特徴がありますか?

成長期の骨折の特徴として(1)骨の治りが早い(骨癒合が早い)(2)少し曲がっていても自然にまっすぐになる
(自家矯正能)が、部位と方向によっては矯正されないこともある(3)成長軟骨を含めた損傷は骨のずれ(転
位)を元に戻しきちんと整復しないと、後日、あるいは将来に成長障害が生じる(4)靭帯損傷、脱臼は少ない
などの特徴があります。
 特に腕の場合は外に反る外反変形や内に反る内反変形(図1)が起きたり、下肢の場合は脚の長さが左右
違って歩行異常が生じたりします。


図1やじるしのイラスト 



どのような注意が必要でしょうか?

きちんと治しておくことが重要であることは言うまでもありませんが、骨折部で捻れて(回旋変形して)
いる場合は分かりにくいこともありますし、成長軟骨の損傷はX線では発見できませんので、数カ月から1〜
2年後に変形が分かることもしばしばです(図3、4)。
もし手足の長さが違ったり、変形が起きた場合は、矯正骨切り術で治したり、仮骨延長術で骨を伸ばした
りすることも可能です(図2、5)。おかしいと思ったら医療機関を受診することをお勧めします。

 

図5

どの部位に多いのでしょうか?

4、5歳で多いのが肘関節周囲の骨折です。この中でも最も多いのが上腕骨顆上骨折です。上腕動脈の損傷
による血流障害でひどいまひ障害が残ることがあります。この骨折は緊急を要します。次に多いのが上腕
骨外顆骨折です。さらに低年齢に生じやすいのが上腕骨遠位骨端離開です。後者2つの骨折は成長軟骨の損
傷ですから成長障害の危険性があります。治療は手術を行なわずに治す保存的治療と手術を行ない金属で固定
する観血的治療があり、主に骨のずれ(転位)の程度でどちらが適しているかを決定します。


日常生活で注意することはありますか?

現代では日光に当たらない生活や食事制限などでビタミンD不足が多いと言われています。ビタミンDは
小腸からのカルシウム吸収を高める役割があり骨づくりには欠かせません。日光浴・魚介類の摂取が必要
です。さらに日本人のカルシウム摂取量は全年代において不足していると言われています。さらにビタミン
Kは骨を作る働きをしており、納豆、緑黄色野菜、卵などに含まれます。小児期からビタミンD、K、カルシ
ウムの摂取を意識しておく必要があります。



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この記事は2021年6月現在のものです。

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