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喫煙と手術・麻酔との関係

麻酔科

 麻酔科では、手術を受けられる喫煙者の方に4週間以上の禁煙を推奨しています。近くに喫煙者がいる受動喫煙の方も同じ状態ですので、ご家族の協力が必要です。今回は喫煙の身体への影響を知り、手術を控えた方はもちろん、喫煙されているすべての方に禁煙について考えていただきたいと思います。


喫煙者のイラスト

喫煙の身体への影響

 喫煙は身体に様々な悪い影響を与えます。タバコの煙に含まれるニコチン、タール、一酸
化炭素などの物質には次のような作用があります。



タバコの煙(含有物)による身体への影響
身体への影響
ニコチン 急性の影響としては脈や血圧を上昇させ、心臓の負担となります。
痰の量を増やしたり、気管支を収縮したりします。
タール 気管支を収縮させたり気道を過敏にさせたりします。気道の異物を
外に運ぶ繊毛運動を弱め、肺にたまった痰を排出しにくくします。
一酸化炭素 血管内で酸素の運搬の邪魔をして体内を酸素不足の状態にします。
血管の動脈硬化を促進します。

これらを吸入することで、血管や心臓、気道や肺に悪い影響が出てきます。
 その状態で全身麻酔を行うとどうなるでしょう。気管に入れる管の刺激や人工呼吸器の影響で、痰が非常に増えたり気管支が細くなったりします。全身麻酔から覚めた直後は、十分に咳ができず誤嚥しやすくなり、肺炎のリスクが上がります。全身の酸素の運搬がしにくいため、傷の治りが悪くなるとともに、脳梗塞や心筋梗塞などの大きな合併症が起きやすくなります。


周術期禁煙のメリット

喫煙の影響は禁煙からの時間とともに次々と改善していきます。〈資料参照〉
 まずは2週間で心機能が改善し、3週間で傷の直りや感染しやすさが改善します。気管や肺などの呼吸器の改善には4週間かかります。もちろん完全に元通りの肺になるわけではありませんが、4週間以上前から禁煙するこせると考えられます。短期間の禁煙でも無駄ではありませんが、少しでも吸っていると改善に向かいません。減煙ではなく禁煙を目指しましょう。
 また驚くべきことに、タバコを吸う人は吸わない人より術後の痛みが強くなることが分かっています。さらに痛みが長引いて慢性化しやすくなるという報告もあります。喫煙が呼吸に悪いのは知っていても、傷の治りや痛みに影響することは、知らなかった方も多いのではないでしょうか。ちなみに最近普及している加熱式
タバコにも有害物質が含まれており、健康に与える影響が少ないという科学的証拠はありません。やはり禁煙の対象となりますので注意が必要です。

〈資料〉

術前禁煙の意義のイラスト喫煙と手術の関係


永続的禁煙のメリット

 これまで手術前の禁煙について多くのメリットをお話ししてきました。禁煙は最初の3〜7日が最もつらいと言われています。入院中にせっかく始めた禁煙をさらに永続的に続けてみるのはいかがでしょうか。禁煙することは、循環・呼吸系や創部感染などの周術期合併症を防ぐだけでなく、健全な術後の生活の獲得と生命予後の改善につながります。ちなみに悪性腫瘍患者では再発率、化学療法・放射線療法の効果や生活の質にいい影響をもたらすと言われています。
 当院は敷地内禁煙であり、入院中はもちろん禁煙です。自由を制限され誘惑のない入院期間は、永続的に禁煙する絶好の機会となります。できれば退院後もぜひ禁煙を継続し、健康的な日々を送っていただくことを心から願っています。

  

                              この記事は2024年12月現在のものです。

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