夜間頻尿でお困りの方へ

泌尿器科

夜間頻尿とは?

尿の回数が多い(頻尿)“というのは泌尿器科を受診される患者さんの中で最も多い症状の一つです。夜間頻尿とは「夜、就寝後トイレに行くために1回以上起きなければならず、これにより日常生活に支障をきたして困っている状態」です。夜中トイレに行くイラスト
夜間頻尿は排尿症状の中でも最も頻度が高く、加齢とともに増加します。60歳を超えると80%以上で夜間頻尿、つまり夜に1回以上トイレに行くために起きなければいけない症状を有しています。では夜間頻尿があると困ることは何でしょうか?

夜間頻尿の問題点、原因

夜間頻尿のうち、特に夜間2回以上の排尿は睡眠の質の低下(睡眠障害)だけではなく、転倒・骨折、うつ病の発症、性的活動の低下、生活の質の低下などに大きな影響を与え、夜間頻尿の無い高齢者と比べて死亡率を増加させると報告されています。つまり夜間排尿回数「2回」が要治療の分かれ目となります。
夜間頻尿の原因としては(1)多尿(24時間の尿量増加)、(2)夜間多尿(夜間の尿量が1日の尿量の33%以)、(3)前立腺肥大症や過活動膀胱などの膀胱畜尿障害(少ない尿でトイレに行きたくなる)、(4)睡眠障害(眠れない⇅トイレに行く)の4つに分けられます。その中で最も多いのが夜間多尿であり、夜間頻尿を訴える患者さんのうち約80%が夜間多尿が原因となっています。

飲水量の目安の表



生活指導・行動療法の指導項目

夜間頻尿の治療

(1) 行動療法、生活指導(表)

1日の水分摂取量の目安を体重×20〜25㎖、1日の尿量が1500㎖程度になるように飲水量を調整することを心掛けましょう。これに夕食以降にカフェインやアルコール、水分を多く含む食事を控えることで夜間の排尿回数が平均1.0回〜1.5回減少するとされています。また1日の塩分摂取量を6g以下にすること、脚の下にクッションなどをあてて(脚を上げて)短めの昼寝(30分以下)をすること、夕方以降に散歩やスクワットなどの適度な運動することでも夜間の排尿回数を減らすことができます。



(2)薬物療法

夜間多尿による夜間頻尿の治療にはこれまでは有効な薬が無く、前述の行動療法が中心でしたが、2019年よりミニリンメルト(デスモプレシン)という薬が男性の夜間多尿による夜間頻尿に対して使用可能になりました。ミニリンメルトは腎臓で水分の再吸収(水分を体外に出すのではなく体の中に戻すこと)を促し、尿の量を減らします。夜間に過剰な尿をつくらないようにして尿の量を減らし、夜寝てから何度も起きてトイレに行くのを減らす薬です。体の中に水分をとどめるため、特に注意しなければならない副作用として、低ナトリウム血症があるので定期的な血液検査が必要となります。
また使用に際しては排尿日誌を用いた夜間尿量の評価が必要となるため、泌尿器科への受診が必要です。
 当院でミニリンメルトを使用した60例の症例では夜間排尿回数が平均で1.7回減少しました(3.9回→2.2回)。また就寝後に最初にトイレに起きるまでの時間も平均で86分延長しました(132分→218分)。この就寝後に最初にトイレに起きるまでの時間が180分以上であれば良質の睡眠を得られるとされており、その点でも良い成績といえます。

(3) 手術療法

前立腺肥大症が原因とされる夜間頻尿に関しては前立腺肥大症治療薬や過活動膀胱治療薬が処方されるほか、根治的な治療として手術が行われます。当院でも前立腺肥大症に対してはGreen Light レーザーを用いた前立腺蒸散術(PVP)で従来の治療法より出血の少ない低侵襲な手術が可能となっております。

手術前後の前立腺の写真

まとめ

夜間頻尿は加齢とともに増加し、特に夜間排尿回数が2回以上となると死亡率にも影響するとされています。夜中に何回も起きてトイレに行く、寝たと思ったらまたトイレに行く、夜中のトイレのせいで眠れた気がしないなどの症状がある方はお気軽にご相談ください。

関連する記事

泌尿器科

この記事は2022年10月現在のものです。

このページのトップへ

地方独立行政法人 筑後市立病院

〒833-0041 福岡県筑後市大字和泉917-1

TEL 0942-53-7511

© 2016筑後市立病院. All Right Reserved.