日本医療機能評価機構認定病院地方独立行政法人筑後市立病院

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背骨からのSOS~知っておきたい脊椎の病気~

整形外科

はじめに

 当院に脊椎脊髄病センターが2022年4月より発足し、4年目を迎えます。

 みなさん、脊椎と脊髄って、どこかわかりますか?
 脊椎は「背骨」、そして脊髄は背骨の中を通っている「神経」を指します。今回は脊椎の病気で一番多い「圧迫骨折」と、脊髄の病気で一番多い「腰部脊柱管狭窄症」についてお話させていただきます。

圧迫骨折

 手や足の骨はボキッと折れますが、背骨はグシャッと潰れるようにして折れます。その折れ方から背骨の骨折は、圧迫骨折と呼ばれます。高齢の方や骨粗鬆症をお持ちの方が、転倒したり重たいものを持ったり、時には特に原因もなく腰痛を訴えたりする場合に最も考えなければならない骨折です。くしゃみや軽い尻もちで圧迫骨折を起こしてしまうことさえあります。

 骨折すると背中や腰、お尻に強い痛みが生じます。立ったり歩いたりは勿論、特に起き上がる時に痛みが出やすいことが特徴です。痛みは数週間から数カ月で少しずつ軽くなりますが、骨が潰れたままですと背中が曲がったり、身長が縮んだりすることがあります。潰れた骨が神経に当たってしまうと、足が麻痺してしまうこともあります。

圧迫骨折の治療

 治療としては、まずは安静とリハビリが中心となりますので、可能であれば入院での治療が望ましいとされています。手足の骨折ではギプスを巻くように、圧迫骨折ではコルセットを作って背骨の潰れが進まないようにして、痛み止めを

使いながら自然に骨が固まるのを待ちます。

 数年前まではこういった治療しかありませんでしたが、最近は全国的にも手術を行うことがかなり増えてきました。傷は5mmが2箇所と非常に小さく、折れている背骨の中に医療用のセメントを詰める手術で、30分もかからずに終わる大変負担の少ないものです。

手術の翌日から痛みが大幅に軽減され、スタスタ歩ける方もいらっしゃいます。身体への負担が比較的少ないため、ご高齢の方にも勧めやすく、当院でもこれまでに100人以上の患者さんがこの手術を受けられています。(2025年8月現在)

腰部脊柱管狭窄症

 脊髄の病気で最も多いものが腰部脊柱管狭窄症です。背骨の中にある脊柱管という神経の通り道が狭くなることで、神経が圧迫される病気です。原因はさまざまですが、加齢によるものであることがほとんどです。
 代表的な症状は腰痛だけでなく、足の痛みやしびれです。また、歩くと足腰がしびれたり重くなったり痛くなったりするのも特徴です。長く立ったり歩いたりが辛くなりますが、少し休むと症状が和らぎ、また少し歩ける「間欠
跛行(かんけつはこう)」というのも典型的な症状です。

腰部脊柱管狭窄症の治療

 いきなり手術なんてことはありません。まずは痛み止めと、神経の血の巡りを改善する薬を使用します。腰部脊柱管狭窄症の足腰の痛みは神経痛なので、神経痛に特化した薬を使います。薬によっては眠くなったりふらついたりすることがありますので、自分に合う薬を探すことが重要です。それでも痛みが強い時はブロック注射を行います。神経に直接薬を注入する注射なので、とても痛いですが、その分効果は得られやすいです。それでも症状が改善しない場合は手術を勧めていますが、私は「痛くて歩けん、痛くて寝られん、長歩きできんで不便な時は手術を考えましょう」と説明しています。つまり日常生活に支障があり、薬を飲んでも痛くて普段通り過ごすことができない方に手術を勧めています。手術は神経に当たっている骨や靭帯などを削って取り除くことで、神経の圧迫を解除する手術が殆どです。背骨がズレている方やグラグラして不安定な方は、インプラントを用いて背骨を固定する手術が必要になることもあります。


おわりに

 脊椎脊髄疾患は加齢により避けられない病気であるがゆえに患者さんは大変多く、当院でも年間100人以上の方が手術を受けられています。足腰が痛い・しびれる、長歩きができないなどお困りの際は整形外科へご相談ください。
 さらに、O - arm(オーアーム)というCT装置を導入する予定です。車のナビゲーションのように、より正確な位置情報へ手術器具を誘導する支援が可能となり、精度向上が期待されます。福岡県内では4台目の購入であり、九州でもまだ10台程度しか導入されていない優れモノです。(2025年8月時点)
 また、10月に当院で地域公開講座(参加無料)を予定しております。もっと詳しい脊椎・脊髄のお話をさせていただきますので、ぜひご来場いただけますと幸甚です。

  

                              この記事は2025年9月現在のものです。

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